館林ストーカー殺人事件
事件概要

2014年2月19日午後3時頃、群馬県館林市のディスカウントストア、トライアル館林子桑原店の駐車場で、駐車してあった軽自動車の運転席で、群馬県大泉町在住の鈴木千尋さん(当時26歳)が射殺体が発見された。

殺害された飲食店店員 鈴木千尋さん(当時26歳)

 

車には鍵がかかっておらず、鈴木さんの携帯電話や財布、買い物をした商品が車内に残されていた。
司法解剖の結果、鈴木さんは頭を厳重で撃ち抜かれ射殺されたとみられるが、車内から拳銃は発見されなかった。
群馬県警は鈴木さんがストーカー被害を訴えていたことから、怨恨による殺人の可能性を視野に入れ、鈴木さんの元交際相手でトラック運転手の永井隆央(当時39歳)を対象に捜査し、2月20日には殺人罪で逮捕状を取る。

犯人のトラック運転手 永井隆央(当時39歳)

 

しかし翌日の21日、永井は栃木県鹿沼市の山中に停車されていた軽自動車の中から射殺体として発見された。
車内には鈴木さんを射殺した際に使用されたと思われる回転式の拳銃があり、永井もその拳銃で自殺したと判断された。

犯行が行われたディスカウントストア トライアル館林子桑原店駐車場に停めてある鈴木さん所有の軽自動車

 

 

背景

・交際から殺害までの経緯
鈴木さんと永井は2013年7月頃、鈴木さんの働くキャバクラにて客とホステスとして出会い交際に発展した。
鈴木さんは16歳の頃より水商売の道に入り、スナックやキャバクラ等で働き続けていた。
4年前に一度結婚し娘さんが生まれましたが、当時は離婚しており娘さんと2人暮らしであった。
永井も当時、家族と別居していたようで、互いに過去の相手と別れ、周りの人の話では気も合っていたそうです。
永井はトラックの運転手をしながら、運転代行の仕事をしていた。
鈴木さんと交際を始めてからは、地元で仕事の出来る運転代行の仕事を増やしていたそうです。
ところが10月に鈴木さんから永井に別れを告げるが、頻繁に電話やメールを送る等のストーカー行為を行う。
さらに別れに応じない永井は、11月1日に栃木県佐野市内のコンビニの駐車場で口論になり、鈴木さんは永井から暴行を受け、栃木県警に暴行罪の被害届を出す。
栃木県警は翌日、暴行容疑で永井を逮捕する。
11月22日、永井は簡易裁判にて罰金刑になり、それを支払い釈放されたが、鈴木さんの意向を受け栃木県警は、永井に対しストーカー規制法に基づく警告文を出した。
ところが永井は鈴木さんへの付きまとい行為をやめなかった為、鈴木さんは12月3日に永井の土地勘がない群馬県大泉町の知人宅に転居する。
12月5日には住民票の閲覧制限を申請する。
それでもストーカー行為をやめない永井は、翌年2014年1月22日と2月7日に、鈴木さんの家族が勤務先に駐車していた車のドアの隙間から覚醒剤を入れた後、公衆電話より匿名で警察に通報し、鈴木さんの家族が捕まるように仕向ける。
永井は鈴木さんの家族が捕まった後、警察に面会に訪れた鈴木さんを追跡すれば、転居した自宅を突き止められると考えたが、家族は逮捕されなかった。
次に永井は鈴木さんの家族の車にGPSを取り付け、家族が鈴木さんと接触するのを待ち、事件が起こる2月19日の数日前に鈴木さんの自宅を突き止め、更に鈴木さんの車にもGPSを取り付けた。
永井は取り付けたGPSの位置情報を基に、鈴木さんの居場所を掴み射殺するという犯行に及んだものと思われた。

 

・加害者への協力者
永井の協力者として、鈴木さんの家族の車に覚醒剤を入れた後に、公衆電話から警察に通報した行為について、6月23日に覚醒剤取締法(所持)と虚偽告訴罪で永井の知人が起訴される。
また永井の知人は7月30日に、鈴木さんの家族の車にGPSを取り付けた行為に対し、殺人を助けたとして殺人幇助罪にて逮捕されたが、8月20日に嫌疑不十分として不起訴処分となる。

6月28日に、永井の携帯電話の履歴から、永井へ拳銃と実弾数発を売り渡した疑いで、銃刀法違反の容疑で暴力団組員の男が逮捕されるが、容疑者である永井が死亡しているため捜査が進展せず、嫌疑不十分で不起訴処分となる。

9月19日、前橋地裁は覚醒剤取締法違反と虚偽告訴罪で起訴されていた、永井の知人対し懲役3年執行猶予5年の判決を出した。
また鈴木さんの家族が逮捕されれば訪れるであろう、栃木県警小山署周辺で見張りをしていた行為について、虚偽告訴罪の共犯として起訴されていた永井の知人に対し、懲役2年6ヶ月執行猶予5年の判決を下した。